さわやか法話 61 だるまさん

 ダルマさんといえば、起き上がりコボシとか、片目を入れては願い事がかないますよう、開運、幸運を祈る、赤いダルマ人形を思い出す人が多いでしょう。そうそう近頃では、選挙がある度に選挙必勝の守り神様にまでさせられているように、どうしてこんなに人気の高いダルマさまになられたのか、不思議なくらいです。ダルマさまの戸籍調査をしてみますと、震旦初祖菩提達磨大師という、いかめしい名前が本名でして今から去る約1500年以上前、中国は梁の時代、天竺と呼ばれたインドから、はるばる中国へ坐禅そのものを、禅の教え、宗旨を初めてお伝えになったれっきとした大和尚さまなんです。以来、中国から日本へと伝えられ、禅の教えを拠り所とする禅宗では初祖さまとして尊崇し、なくてはならぬ御像を祀ってその偉業を仰いでいるわけです。しかも中国へ来てからも人里を離れ、嵩山少林寺に入ってひたすら壁に向かって坐禅すること九年におよんだ。「面壁九年」として有名であり、ひたすら坐禅に打ち込む偉力みなぎるそのお姿が、今のダルマ人形に象徴されたのでしょう。
 さてそのダルマさまのお言葉に《求むる所あれば皆苦なり、求むる所なくんば則ち楽し》とあります。人間は飽くなき欲望のかたまりだ。欲しい、欲しい、何々をしたい、したいと思っていたものが手に入ってそれで満足するかといえば、そのとたん次の欲しい、欲しいが始まっている。いつまで経っても、ないものねだりで、満ち足りた心の安らぎがない。こうしていつもガツガツしている。思い道理にならないと言ってイライラしてしまう。こんな状態こそ「皆苦なり」と言うのであって、そのガツガツ、イライラを一度きっぱり捨ててごらん、スッキリするぞというのがダルマさんの一喝なのです。
 「福は内、鬼は外」と節分の声が聞こえます。求むる所あるはイライラ、ガツガツの鬼、求むる所無くんば則ち福とダルマさんの一喝に心を覗いてみませんか。私達にとって何が福で、何が鬼なんでしょう。