さわやか法話55 庚申とは・・・

 新しい年を迎え、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 さて、正月も過ぎ中ごろになると初庚申があります。今年は1月10日になるようです。この頃になるとあちこちで庚申講の宴が、にぎやかに行われ、酒を酌み交わし、楽しく語らうということがあります。
 庚申信仰はどんな由来を持っているのか調べてみました。この信仰は中国の道教という教えによるようです。私たち人間のこの体の体内にはサンサ神という三匹の虫が棲んでおり、この虫が庚申(かのえさる)の晩になると、人間の爪の先から飛び出して、天に昇って行き、天の主たる玉皇大帝のもとにまいり、指の人の悪口をあれこれと告げ口をするという。大帝はそれを聞いて、鬼籍というえんま帳にその人の寿命を前もって書き込んでしまう。即ち死ぬ時期を定めてしまうんです。
 さあ、大変、そんな調子で自分の寿命を決められてなるものか。そこで我々人間は庚申の晩に、サンサ神に悪口を言われないように、その晩は徹夜して己の行いを慎む風習が生まれてきたのです。ここが庚申信仰のポイントでしょう。悪いことを見るな、悪いことを聞くな、悪いことをしゃべるな。身を、心をよく慎め。道の隅に立てられた庚申塔に見ざる、聞かざる、言わざるの三猿が刻まれているのもそのためです。仏教の教えでも身口意の三業、つまり私たちの身体による行為、口で言葉に よる行為、心による行為を清く正しく保ちなさいというのは基本的な教えです。いつのまにか、よからぬ虫が私に住み着いてゴソゴソと動き出してはいないかどうか、相手を傷つけ、ひいては己を傷つけ、自分の生活までだめにしてしまう。私も庚申の晩、しかと戒めてみることにします。