さわやか法話13  ”盆供養”

 ”言うまいと思えど今日の暑さかな” それにつけても雨の欲しさよ、厳しい夏になりました。そして、お盆の季節です。 お盆を迎えるにあたりしっかりと考えを深めて欲しいキーワードは”ウランバナ”です。 私達が”お盆”と呼ぶ必修の行事は、正式にはウラボン会と言います。  インドの言葉、ウランバナという言葉の発音を漢字に当てはめたものでそれは倒懸という意味です。 ”倒懸”、それはすさまじい情景を現せる言葉です。”倒”はさかさまに、”懸”はつるされた苦しみそれがウランバナの意味あいであるのです。 この”倒懸”とお盆の行事の関係について”盂蘭盆経”にはつぎのような物語があります。 お釈迦様の十大弟子の一人、神通力が第一と言われる目蓮尊者がある日今は亡き母親は何処におるのか、 神通力をもって捜された。すると母親は餓鬼道の世界にあって飢えと渇きによる倒懸の苦しみを受けておられた。 そこで自らの神通力で救おうとしたが、自分の力では救うことができない。 そこで、思い余った目蓮尊者はお釈迦様のもとに参り事の次第を告げ、母の倒懸の苦からの救済の方法を尋ねました。 お釈迦様は「目蓮、お前の母親は生前に犯せし罪科の深きによって餓鬼道に落ちたのだからお前一人の力ではどうすることもできない。 しかし、幸いに雨期の厳しい修行を終えられた大勢の僧たちがこの精舎に集まってこられる。 そこでこれらの僧たちに供養し、心をこめてお祈りすればお前の母親もきっと餓鬼道から救われるでしょう」と教えられた。  倒懸、目蓮の神通力、餓鬼道、お釈迦様の救済この話、もっともっと智慧を深めて考えてみる問題が 含まれていると思います。